「燈火」ともしび。ともした火。あかり。ともし。とうか。たいまつ。たてあかし。
「明かりのこと。火を獲得した人類は、その熱を調理や暖房に向ける一方で、火より発せられる光を暗い場所を照らす道具として利用し、自らの時間的、空間的活動範囲を飛躍的に広げた。」日本の文化人類学者である、関 雄二氏のお言葉を引用させていただきました。

 読者様は「燈火」と聞き、どのようなものを想像するのでしょうか。

 著者の「燈火」は、優しく生命を照らしてくれる暖かく小さな炎です。けれども、闇全体を照らすほどの力強さは無く、一息も吹けば儚く消えてしまう、そのような脆い炎です。それでも、あらゆる生命線と繋がっている大切な炎です。決して絶やしてはいけない、忘れていはいけない。見失いかけた道を照らしてくれる唯一無二の炎が著者の「燈火」です。