序章 それぞれの門出

 あれっと、私は空を見上げていた。こういう日は、いつも晴れていた様な気がする。今日は雲が厚く日差しを妨げているのだ。あの人が去ったのは、そんな日だった。最後の日だというのに、誰とも顔を合わせないまま、その姿と笑い声は、いつもの事務所には無かった。あの人らしいとも思うのだけれど、どこか不自然で少しだけ嫌な予感がする。司馬さんにとって、本当に良い門出の日なんですよね。

 一応、最終日に送別会くらいは開きましょうよと、たくさんの社員が声を掛けてくれていたのに、当の本人が最終日にも関わらず、お客様へのご挨拶まわりをするのだと言って聞かずに、隙間無く予定を入れてしまっていた。最後の最後は遠方だ。結局、私たちは後日改めて送別会を開くこで妥協するような話になった。机の荷物はいつ来て片づけたのか分からないのだけれど、そこには始めから誰もいなかったかの様に、何も無い鼠色の箱となっていた。私たちが返った後に事務所に寄っていたのだろう。綺麗に拭かれている様で汚れも無い。電話も綺麗に拭かれている様だった。見た訳でもないけれど、おそらく引き出しにも紙切れ一枚入っていないのだろう。会社として必要な書類などは、それぞれを鍵付きの棚に収めていたようで、少しだけ嵩を増しているのが見て取れた。ずっと置き忘れていた、やたらと長い傘もそこにはもう無い。

 とすると、最期にあの人を見たのは数日前で、それが最後だということになる。あの人はこのまま去る。ずっとクラインとの挨拶回りに出ずっぱりで、事務所に顔を出していない。そして今日も最終日だというのに訪問先から直帰するらしい。その為なのか、寂しいという気持ちが何故か湧いてこない。送別会というセレモニーが無いからか、あまりにも実感が無いのだ。

 そして今日は面談者も無く、カンファレンスも無い。何もない。何もない。空虚な空間の中、時計の針だけは動いている。電話も鳴らない。メールも届かない。まるで時が止まってしまったかの様だったが、時計の針だけは動いてる。私はオフィスに独り出社して、事務処理を始めていた。

 あの人がクライアントへの挨拶回りを始めたのは、一ヶ月ほど前からだった。最初の数週間は、目白君と一緒に大手のお得意先を中心に挨拶回りをしていたそうだ。ここ数日は、取引の少ないクライアントまで隈なく回っている。目白君も引き継いだお客様の対応で忙しそうにしていて、あの二人も顔を合わせていないのだろうと容易に想像がつく。

 その話を聞かされたのは二ヶ月ほど前。会社には、更に一ヶ月前には伝えていたそうだけれど、ほぼ誰もその事実を知らなかった。だから面食らってしまったのだ。特に目白君はショックだったと思う。目白君と二人で事務所にいる時の会話は、どうしてか、あの人の話になるのだけれど、その会話から目白君があの人を慕っていることが良く分かった。あんな事があった時も、目白君だけはあの人を信じていたし、そんな人では無いと否定していた。そんな後輩の気持ちも知らないで、あの人は新しいことに挑戦する為に、この会社を去るのだそうだ。

 あの人はこの会社にいて、居心地が悪いといった事は無かったと思う。私から見て部下には慕われていた人だった。役員とは折りが合わなかったようだけれど、それはあの人の信念が強すぎた為だと知っている。だから愚痴を聞いたことは確かに有ったのだけれど、退職する理由になる程では無かったと思う。給与については分からないけれど、後輩にはご飯なんかも奢ってあげていたし、私の胸元にあるペンダントもあの人からの誕生日プレゼントだし、決して悪くは無かったのではないだろうか。うちの会社の規模からすると、それ程でもないかも知れないけれど、独り身のあの人であれば十分だったのでは。だとしたら何故、突然に新しいことに挑戦したいなんて言い出したのだろう。お金に余裕があると、そんなことも考えてしまうのかな。

 それとも、また何かを見たのだろうか。でもあの人は、自分が直接関わることは知ることができなと言っていた。実はそれが偽りだったとか。だとしたらズルい。でも、そういう嘘を言う人でもないと、何処かで信じている私がいる。この事務所では目白君に次いで、いや一緒に過ごした時間であれば、もっと長いかも知れない私が思うのだから、きっと間違ってはいない。もう、分からないですよ。何がしたいのですか貴方は?今このタイミングに、どの様な選択肢が有るというの。

 月末は請求処理などで、それでも忙しかった。特に電話や面談が無いのは、正直なところ嬉しい。あの人が居てくれたら、大抵のことは捌いてくれるから、結果的に負担は少ないのだけれど、居いとなると話は変わってくる。けれど今日はその人が居ない。でも電話も面談も何もない。事務処理も淡々と処理ができたので、定時には仕事が終わっていた。時計の針は十八時半を過ぎたところ。後は明日でも構わない。明日からずっと、あの人はもう居ない。どうにも実感が湧いてこない。それでも、明日からは本当に職場は変わってしまう。それが真実が綴る現実。あの人の口癖だったのだけれど、言われることが難しすぎて、いつも私の頭はパンクしていた。

 数か月前に、あの人は代表に退職の意向を伝えていたのだそうだ。やりたいと思っていたことに、やっと挑戦できるチャンスが出来たので、それに挑戦したいのです。それがあの人の退職理由だった。それが何かと聞かれても答えなかったらしい。ただ、同業者への転職をするのではないと、頑なにその意志だけを伝えていたそうで、それが故に円満という雰囲気ではなかったけれど、最終的には喧嘩別れという事にもならなかった様だ。そんなんだから、私も他の誰もあの人の言うやりたい事が何なのかを知らない。

 天川さんなら知っているでしょと言われても、本当に私も知らない。一度だけ訊いてみたのだけれど、話をはぐらかされてしまった。それ以来、ほとんどあの人とは顔を合わせていないのだ。そんなことを考えながら仕事をしていたら、いつの間にか夜の十時になろうとしていた。こんな時間まで仕事をするつもりでは無かったのだけれど、手を付け始めてしまうと、仕事はエンドレスになる。だから明日で良いものは、明日にすれば良いのだよ。その時間を家に帰って参考書の一冊でも読むことに使ってくれたら、私はその方が嬉しい。ああ、またあの人の言葉が頭に浮かんでしまう。なんだか、いつも掌の上で転がされていたのかも知れないな。

 その時、外の扉の開く音がした。そんな気がした。この時間に閉めてある入り口の鉄扉を開けてまで、入ってくる人なんて居る筈がない。そう思いたかったのだけれど、その音の後に続く足音が、確実に私のいるバックオフィスに近づいて来る。どうしよう、泥棒とか変質者だったら、こんな狭い部屋から逃げ出せるだろうか。ここから外に出る扉は一つしかない。待てよ、目白さんの可能性は有るよね。今日は直帰するという連絡も無かったし、もしかしたら何か理由があって、帰って来たのかも知れない。私は不安と恐怖を抑え込むように、それを願って無心になろうとパソコンのキーボードを叩いていた。

 その足音はゆっくりと進み、バックオフィスの入り口前で止まった。最後の砦はセキュリティーキーだけだ。怖い。けれど、暗証番号を知らなければ、簡単には部屋に入ってくることはできない。私は、そう思いながらも鞄に入れていたスマートフォンを取り出していた。いざとなったら警察に電話しようと思ったからだ。でもそれって、今直ぐした方が良いのではないのか。だけれど、帰ってきた目白君だったら、それもそれで大変だ。でも怖くて声を出してまで確認することができない。

 緊急の電話を掛けようかと悩んでいた矢先に、セキュリティーコードを入力する音が聞こえてきた。ピーピーピーピーと電子音が四回鳴る。正しければ最後のオープンキーを押すことで扉が開く。それで開くのなら目白君の可能性が高い。ところが、ブーと電子音が鳴った。それは間違えたという証拠だった。怖い。怖い。そんな、目白君なら一発で入れた筈だし、滅多にミスタッチなんかもしない。そんなことを考えていたら、二回目の入力音が鳴る。またブーと電子音が鳴った。噓でしょ、誰なの。

 扉の外から、あれっと男性らしき声がした。恐怖からか、誰の声か分からなかった。けれど目白君の声とは違っていた。もうヤダ、もうヤダと心の中で連呼して、いよいよスマートフォンの画面ロックを外した。緊急連絡であれば、画面ロックを外さなくても掛けれるのだけれど、私の冷静さは何処かに消えてしまっていた。その間にも三回目の入力音が聞こえてくる。どっちつかずの私は、まだ警察に電話を掛けれていない。これがあの人の言う選択肢だとしたら、私は既に選択を誤ったのかも知れない。電子音が四回鳴った次の瞬間、オープンキーが正しく入力されたことを表す音が鳴った。

 扉がそのあとガチャリと開く。私は硬直して、そこから入ってくる何者かを凝視してしまった。そして、そこに立っていたのは訪問先から直帰をすると言っていたあの人その本人だった。左手で扉を開け、右手にはビジネスバック持っている。何故か扉の前で立ち止まる司馬さんがそこにいたのだ。

 おっ、お疲れ。司馬さんは、そんな言葉を言ったのだと思う。あっ、はい。私も素っ気ない回答を返してしまった。変な空気が数秒流れてた。司馬さんはその間、目を丸くして私を眺めていた。私は程なくして全身から嫌な力が抜けていって、我に返ることができた。

「あの、今日は直帰するんじゃなかったんですか。っていうか、普通、二回も番号を間違えます。」
「いやどうも、久しぶりに事務所に来たからなのか、ちょっと押し順を忘れていたみたいだ。番号は覚えていたのだけれどね。」

 言わんとすることは分かる。要するに数字を見ながら解除コードを入力していたのではなく、感覚的に押す場所と順番を覚えていたので、その感覚に頼ったことで、結果的に解除ミスを連発したということだ。そして、最期は仕方なく番号を見ながら解除コードを入力したのだろう。その為に、私は無駄に長く恐怖に怯えていたのだ。まぁ解除コードを覚えていてくれたので、百歩だけ譲って許してあげよう。

 私がそんなことを考えているとは知る由も無く、司馬さんは何食わぬ顔をして、扉の前から自分の席へと移動していた。バックオフィスは小さな部屋で、ドアから数歩程度の距離に私たちの机がある。司馬さんはそのまま自分の席へと向かい、机の引き出し前の床に鞄を置いて椅子に座った。そのまま足元にあるパソコン本体の電源を入れたようで、それは数秒も無いような時間だ。いつしか私の中の恐怖は安堵に変わっていたが、腑に落ちない気持ちもあった。

「今日は帰ってこないと聞いていたから、驚きましたよ。足音が聞こえて、ちょっと怖かったんですから。」
「そうなの、ごめんね。それで、あんな顔をしていたのか。」

 司馬さんがいつもの笑みを浮かべて、何かを納得したように話し掛けてきた。あんな顔って、私はどの様な顔をしていたのだろう。今度は恥ずかしくなってきた。要するに恐怖は全て取り越し苦労で、独りで勝手に慌てていたことになる。でもさ、あの状況は誰だって同じようになるでしょう。そう自分に言い聞かせていた。

「いや、よく考えたら車のカードキーも返さないといけないし、最期に社内向けの挨拶メールもしておきたかったから。そんなことよりも、なんでこんな時間まで天川さんが居るんだ。何かあったのか?」

 私はまだ自問自答をしていたが、パソコンのモニター脇から顔を出して話し掛けてくる司馬さんの顔をみて、日常に引き戻されていった。私の席は司馬さんの席の正面にあるので、お互いに座ってしまうと、目の前にあるパソコンのモニターで顔が見えなくなる。話をする時には、そのモニターの横に顔を出して声を掛けるのだ。

「いいえ、むしろ一日中暇なくらいで、ただ、えっと。だいたいの仕事は終わったんですけど、もう少しやっておこうかなと。」
「なんで。」
「なんで、って、その、明日から司馬さんが居ないわけじゃないですか。そしたら対応とか入ったら忙しくなるかも知れないし、目白さんも一日居られないようでしたから、それで。」
「そういうことか、なんだか申し訳ないね。でもまぁ、そこまで気負う必要はなんじゃないかな。天川さんは仕事の出来る人だし、僕が一人居なくなったからと言っても、大して変わりは無いと思うよ。無理せずに帰りなさい。」

 司馬さんはいつも、同じように言ってくれる。定時になると、何時まで掛かりそう?とか心配そうに声を掛けてくれるのだ。厳しいことを言うときは、本当に泣きたくなるくらいの事をズバズバと言ってくるのだけれど、それは大抵が正論だった。実際にトイレに駆け込んで泣たこともある。その時は全く理解できないことを言われたことも有ったけれど、後で振り返ると、やっぱり正論だったのだと気づくのだ。もちろん全てが正論だっとも思わない。けれど正しいことの方が、ずっと多かった。

 司馬さんは、しばらくするとパソコンを使って何かを始めたようだった。まだ仕事も残っていたのだろうか。そんなことを考えていながら、私はもう仕事が手に付かなくなっていた。もういいや、明日にしよう。そう思ったときに、新着メールが自動受信されたのに気が付いた。司馬さんからの最後の挨拶メールだった。それを見た瞬間に、これまで無かった実感が湧き上がってきた。本当に辞めちゃうんだ。

「あ、もう送っちゃったんですか。」
「ん、なんか問題でもあった。」
「いいえ、なんか、司馬さんから届いたメールを見て、急にその。」
「急にその?なんだ、もしかして寂しいです、とか言ってくれるのか?」
「そんなこと、言うわけないじゃないですか。」
「あらそう、でも顔は寂しそうな顔をしているよ。なかなか本心って隠せないものだねー。特に私には。」
「え、そんなの、嘘だ。」

 私はとっさに手鏡を取り出して自分の顔を除いた。その様子を見て司馬さんは、また笑っている。振り返ると、私たちの会話はいつもこんな感じだった。会話の節々で、司馬さんは私を揶揄うのだ。私が真剣な話をしている時でも、いつも笑みを浮かべて、話半分で揶揄ってくる。失敗した時も大笑いして揶揄ってくる。目白君が隣の席にいる時なんかは、二人がかりで私を揶揄ってくるのだから質が悪い。

 でもそう言えば、私が仕事でミスをした時に司馬さんが怒った事は無かったな。いつもそうやって、何でも笑い話に変えてしまう。だから、トイレに駆け込んだ時も、それは辛いのではなく悔し涙だった。上手くできない自分に悔しくて、それで泣いていた。席に戻れば、また笑顔で笑い飛ばしてくれる。揶揄ってくれる。今日まで仕事を投げ出さずに来れたのは、この笑顔のお陰だったのかも知れない。

「そろそろ帰るよ。これまで、ありがとうね。」
「えっ、もう帰るのですか。」

 既に手に鞄をもって立ち上がっていた司馬さんを、私は手鏡を持ちながら見上げていた。私だって、もう仕事をする気はない。いや違う、そうじゃなくて、こんな最後で良いのか。たまたま帰ってきた司馬さんと会えたというのに、私の選択肢はこれであっているのか。こんな短時間でこの人を見送るだけで良いのか。

「私も帰ります。ちょっとだけ待ってて下さい。」

 私は急いで作りかけの資料を保存した。それから、立ち上がっていたソフトを全て閉じてパソコンの電源を消した。机の上に放り出していたスマートフォンも鞄に締まった。よし、これで帰れる。帰宅の準備をしたところで、司馬さんが声を掛けてきた。

「まぁ良いけれど、慌てなくて良いよ。今更逃げたりはしないからさ。ああそうか、それなら僕のセキュリティーカードを天川さんに預けておこう。後で郵送で送ろうと思っていたけれど、結果的に助かったな。」
「自分で送って下さい。」

 私は、わざとらしく不貞腐れた顔をして不満げに言った。なんだか、いつもと変わらなくて、本当に不満だった。最後の日だというのに、何一つ変わらない。なんかこう、もっと有るのではないだろうか。これまでの事を話したりとか、そんなお別れを想像していたのだけれど、送別会が後日に残っていたから、だから今日はこんなものなのだろうか。司馬さんは相も変わらず、笑みをこぼす様な顔で私を見ている。

「そりゃないだろ、受け取ってよ。と言うか、机に置いていくから、本社に書類か何かを送る時に、一緒に返却しておいてよ。」

 司馬さんは、そう言いながら事務所の鍵を棚から持ち出していた。間もなくして、二人でバックオフィスの扉を出た。電気を消して、事務所の入り口まで向かい、鉄の扉を閉める。司馬さんが持っていた事務所の鍵で、その鉄扉の鍵を閉めようとしていたので、エレベーターに先回りをして呼び出しボタンを押し、直ぐに来たエレベーターの扉を開けて待ってた。司馬さんは何も言わずに乗り込んで来たので、そのまま地下へと向かった。この間も司馬さんは何も語りかけてくれない。私には話したい事が沢山あったのだけれど、何を話したら良いのか分からなかった。

 地下に到着して、地下出入口の近くにあるセキュリティー装置のある場所まで二人で並んで歩く。無言のままその場に着くと、司馬さんが事務所のセキュリティー装置に鍵を差し入れた。それを見て、私はカードキーを使ってロックをした。いつもなら、それで良かったのだけれど、胸元にモヤモヤする何かが残っている。私には、それが何か分かっている筈なのに、それでも目を背けてしまっている。

 地下から地上へ階段を上がって外にでる。直ぐに大きな道路の前に出るのだけれど、私は目の前の横断歩道を渡ることになる。司馬さんは入り口の左手側に直進していく。つまりここで、本当にお別れなのだ。信号は青になる直前だった。そんなことは関係ない、けれど司馬さんの顔を見れない。急に寂しさが込み上げてきて、この現実を受け入れられない。なんで、今日に限って目白君がいてくれないのだろう。一緒だったら、ここで話をできた筈なのに。

「天川さん。改めてだけれど、本当にこれまでありがとうね。これからは、目白や皆と頑張って下さいね。」

 私は司馬さんの方に顔を向けようとしたのだけれど、また躊躇してしまった。目の前の信号は青になっていて、点滅し始めていた。ここの青信号は短い。信号の色が変わってから、私は司馬さんの方を向いたのだけれど、司馬さんは私に背を向けて既に歩き始めてしまっていた。私は一体何をしていたのだろう。選択を誤ってしまったのだろうか。その背中に向かって、大きな声では無かったけれど、その時の精一杯出せる声で呼びかけた。

「あっあの、私の方こそ、ありがとう御座いました。再来週の送別会でまた会いましょう。」

 そうだ、送別会ではちゃんと顔を見てお礼を言おう。次は躊躇なんてしない。その声が届いたようで、司馬さんは右手を肩の上まで挙げて、軽く手を振ってくれた。けれど振り返ってくれることはなかった。私は頬に伝わるものを手で拭っていた。きっと私は、その時既に分かっていたのだと思う。司馬さんが送別会に現れないことを。