「転職の魔王様」を読ませていただいて

著者:額賀 澪
出版:PHP文芸文庫

燈火の感想

先ず始めに、どうして私がこの小説を手に取ったのかについて、きちんと伝えておきたいと思います。

ちょうど私は、ホワイトキャンバスという小説作品を書いている途中なのですが、ネタとなるシチュエーションが同じだったのです。CA(キャリアアドバイザー)と転職者の織り成す物語。

私はプロの小説家ではないので、同じような作品を書いたとしても盗作として非難されることも無いでしょう。それに、探偵ものとか転生ものとか、挙げれば類似品は沢山あります。それでも書いている途中だっただけに、気になってしまったというところです。

では率直な感想から。
転職の経験者であれば良く分かると思いますが、転職者を取り巻く環境や心理の揺れ動きなど、とても鮮明でリアルに書かれています。きっと額賀氏はCAか転職の経験者、もしくは丁寧に取材をされたのでしょう。私がリアルだと感想を言えるのは、実経歴としてCAを10年近くやっていた経験あるのと、転職も8回しているからです。

何よりも、主人公が気持ち悪いくらいにCA時代の私に似ているところがあって、当時の同僚に取材したのではないかと想像してしまう程でした。最近、流行っている特殊能力ネタも無く、青春ネタや恋愛ネタでも無いのですが、新しい登場人物が現れる度に、成り行きが知りたくなります。

ドラマ化をされるだけに、まとまりの有る作品です。私はきっとドラマを見る事は無いと思いますが、そちらを観ても面白いのでは無いでしょうか。第二弾が出版されているようですが、次のまとめ買いの時に検討してみようと思います。