「探偵のままでいて」を読ませていただいて

著者:小西 マサテル
出版:宝島社

燈火の感想

先ずは率直な感想から。
完成度が高くて面白い作品に出逢えて、とても嬉しかったです。一気に読み切りたい気持ちを抑えながら、少しづつ読んだのですが、最初から最後まで満足のミステリーでした。

私が優秀だと思う作品には、幾つかのパターンが有るのですが、この作品はその全てが入っていました。なので、私の本棚に殿堂入り保管の確定した書籍となります。

この作品は短編形式になっていますが、物語は全て繋がっています。ここが、この作品の面白さにも繋がっているのですが、先ず短編それぞれの完成度が高くて面白い。物語の中では有名なミステリーの紹介なども有るので、ちょっとした豆知識も身に付きます。ミステリー作品に読み慣れていない人にも、ミステリーの読み方が書かれていたりして、それもまた面白いのです。

この様な感想を書いてしまうと、本当にミステリー小説なのかと疑問をいただかれそうですが、この作品は非常に良く考えられているミステリー小説です。そして登場する探偵が、また渋くて格好良い。これまでに類のない設定にも驚きましたが、シャーロックホームズや金田一耕助とは一線を画す様な探偵像です。

また謎を解くシーンも典型的な描写では有るものの、工夫が凝らされています。嗚呼、こういう書き方がまだ残っていたのかと、物語を読み進めながら、ずっと感動をしていました。この作品を読むときには、是非一緒に推理してみて下さい。まるで漢字や数学のドリルの様に、推理のドリルが物語の中で展開する筈です。それを思いっきり楽しんで、そして最後の難題に挑戦する。

読み終えたら、きっと読んだ人と答え合わせをしたくなる筈です。ちなみに私の解は。。。それは、いつか何処かで、お話をしましょう。